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仏師 瑞雲の製作風景

兜跋毘沙門天像 (とばつ びしゃもんてん) 総丈150cm 楠材一木彫り

 寺院様からの依頼で彫刻。楠材木地仕上げ、参考は岩手江刺市藤里 愛宕神社にある国の重要文化財 11世紀木造で、毘沙門天胴体および地天女部分に整った丸ノミの跡を残し、お顔は綺麗に仕上げた鉈彫り像です。
 お顔に「毘沙門天の化身」といわれる坂上田村麻呂の面影が残るよう制作。坂上田村麻呂は征夷大将軍として初めて蝦夷征伐を成し遂げた「将軍中の将軍」で「軍神」となっていきます。
 兜跋毘沙門天は地天女(ちてんにょ)の両手に支えられて立ち、左右に毘藍婆(びらんば)、尼藍婆(にらんば)の二鬼を従える姿。唐の玄宗(げんそう)皇帝時代、中国西域の安西城(あんせいじょう)が敵に包囲された時、兜跋毘沙門城の楼門に出現し敵を退散させたという伝説から我が国でも造られるようになりました。王城の守護神として城門などに安置されます。京都東寺には羅城門上に安置されていたといいます。

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御衣木(みそぎ)祈祷中の仏師、瑞雲
制作始めは用材と身を清める御衣木加持をしました。毘沙門天さまの御神霊がお下がり下さるよう用材と作業場を浄化し仏師の霊格を高める意味もあります。完成まで無事順調に制作出来ますよう、また毘沙門天さまのご加護がありますよう祈念しました。
粗彫り中の仏師、瑞雲
用材(楠)を鋸で挽き鑿で大体の形にしていきます。また背中側には穴をあけ空洞を造り、木の中からも乾燥させます。ここまでくれば最初の御衣木前の重量の半分くらいになりました。

仕上げ中の仏師、瑞雲
全体のバランスが取れたところで背中の空洞にふたをして仕上げに入りました。お顔は特に入念に仕上げます。また目がやや斜め下を向くよう調整します。仕上がったらドーサを作り4回ほど塗って目や唇、眉を彩色して完成。
完成 兜跋毘沙門天像 楠材一木彫り
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